御近所トラブルにならずに済んだ

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悪いウィルスが流行して、自宅に居ることが多くなると、父親は犬小屋の塗装をした。
私、「パパが塗ったの?凄いじゃない」
父親、「そうだろ、学生時代のパパは技術・家庭が得意だったんだ」
父親は一人娘の私に褒められ喜んだのだが
母親、「技術・家庭が得意って、他の科目が出来なかっただけでしょ?
父親、「そんなことないよ、体育と音楽も得意だったぞ」
どうやら、学生時代の父親は、勉強が苦手だったようだ。

父親、「後は仕上げのニスを塗ったら完了だ」
お世辞ではなく、父親が塗った犬小屋は、ご近所さんからも褒められるくらい良い出来栄えだったのだが、肝心の犬は塗料の匂いが嫌なのか、犬小屋に入ろうとはしない。
梅雨に入り、雨で塗装の匂いが和らぐと、犬は犬小屋に恐る恐る入った。

父親、「やっぱり犬には分かるのかな?」
私、「何が?」
父親、「ホームセンターで安売りしていた塗料で犬小屋を塗ったんだ」
私、「塗料に安い高いがあるの?」
父親、「高い塗料だと環境や健康などに配慮されているんだ」
それを知ったら、安い塗料で塗装された犬小屋にいる犬のことが心配になった。
母親、「犬小屋で良かったわよ。犬なら塗装臭いと思ったら、犬小屋から出られるでしょ」
私、「そうね、鳥のゲージでなくて良かったわね」
父親、「塗装の仕方は、高い塗料も安い塗料も大差ないから、家の塗り替えもお父さんがしようかな?」
私と母親、「それはヤメて」
父親、「どうして?」
母親、「自分で家を塗る人なんていないわよ」
父親、「DIYは流行っているんだぞ」
父親が家の塗り替えをしたがっていることを、ご近所さんに相談をするとメッチャ反対された。
なぜなら、犬小屋の塗り替えでも、ご近所さんは塗料が臭いと思っていたから。
父親に出来栄えを褒めたのは、あくまで社交辞令。
業者さんが行う家の塗り替えを、父親は羨ましそうに見ていたため、
私、「手伝えば良いじゃない」
父親、「良いよ、お金を支払ったんだから」
業者さんが行った家の塗り替えは、塗った直後でも全く匂いがなく、ご近所さんからのクレームもありませんでした。